美濃電気軌道の笠松線笠松口(初代)〜広江間が開業。
竹鼻線は岐阜県の南部、名馬オグリキャップがデビューしたことで知られる笠松競馬のある笠松町から、一部岐阜市旧柳津町を経由して、木曽川・長良川に挟まれたかつての輪中地域羽島市を走る、名古屋鉄道の路線です。
なお竹鼻線は、笠松駅〜江吉良駅の「竹鼻線」、江吉良駅〜新羽島駅の「羽島線」から構成されており、公式な文章・場面では区別して表記されています。しかし、運行形態として一路線として扱われていること、羽島線が1区間しか無いことなどから、駅や車内でのアナウンス・地元の人たちの間では総称して「竹鼻線」と呼ばれています。
そんな竹鼻線は、朝・夕が混雑し、昼間はあまり利用者の居ないという典型的な「通勤・通学型ローカル線」です。2011年3月のダイヤ改正まで朝の列車は全てが岐阜まで直通し、県都岐阜市街へ向かう会社員や学生を多く運んでいました。昼間は2両編成でも空席が目立つ車内で、のんびりとした雰囲気が流れています。
2011年3月のダイヤ改正で岐阜まで直通する列車が激減し、名古屋本線に付帯する支線としての色が強くなったためか、ワンマン運転開始も噂される昨今。
2001年には江吉良・大須間が廃止され、竹鼻線のイメージの一つに「廃線」の2文字が浮かべる方がみえるかもしれません。しかし、2005年に羽島市役所前・江吉良間の高架化、2007年に駅集中管理システムの導入(駅舎新設・自動駅務機器設置)、2008年には柳津駅の移転など設備投資も盛んに受け、沿線も宅地が増えるなど、衰えているわけではありません。
路線カラーは黄土色、「名鉄時刻表」では最後に掲載され、“乗り鉄”の乗りこぼしが多い線区でありながら、15分ヘッドという便利さ。特急は未だかつて設定されたことが無い。何をとっても『さえない』路線。それが竹鼻線です。
美濃電気軌道の笠松線笠松口(初代)〜広江間が開業。
笠松口(初代)を笠松(初代)に駅名改称。
笠松(初代)を笠松(2代目)へ移転する。
小宮山儀太郎(竹鼻商工会)を初めとする竹ケ鼻町有志ら24人が免許申請。
『笠松町から駒塚村狐穴に至る軽便鉄道』の敷設免許が下りる。
竹鼻町光照寺にて創立総会。「竹鼻鉄道株式会社」設立(本社:駒塚村狐穴新道)
資本金:50万円 社長:小宮山儀太郎 専務:坂倉又吉
取締役:渡辺兼右衛門、横井磯一、岡田明徳、渡辺秀三、青木知四朗
線路敷設工事開始。実質的親会社・美濃電気軌道株式会社の技術者も応援する。
同年4月開業予定も長雨で遅れ、この日全線開通。
試乗会が行われる。
新笠松(初代、現:西笠松)〜竹鼻(初代)間、7.7キロが開業。設置駅は新笠松(現・西笠松)、東須賀、東柳津、西柳津(現・柳津)、門間、南宿、須賀、不破一色、曲利、竹鼻の計10駅。
車両は四輪電動客車(デ1型)4両・貨車2両。電力は美濃電の直流600Vを受電。
なお新笠松は仮駅として開業。
笠松線笠松(2代目)が新笠松の位置へ移設し、新笠松を笠松(3代目)に駅名改称。笠松口(2代目)開業。
新笠松は仮駅としての役目を終え、竹鉄・美濃電の共同使用駅として営業を始める。
『竹ケ鼻村から桑原村へ至る鉄道』の免許申請。
竹鉄、資本金を100万円に増資。
『竹ケ鼻村から桑原村へ至る鉄道』の敷設免許が下りる。
竹ケ鼻村〜桑原村間の工事に着手。
竹鼻を栄町に駅名改称。
栄町〜大須間、8.4キロが開業。設置駅は本覚寺前、竹鼻(2代目)、江吉良、牧野、長間、中区、沖、市之枝、美濃石田、正専寺前、八神、桑原、大須の計13駅。
これにより竹鼻鉄道の笠松(3代目)〜大須間は16.1キロ、23駅となる。
同時に電動客車4両を新造し、栄町に400kWの変電所を新設する。
美濃電が名古屋鉄道株式会社(初代)に吸収合併。
名古屋鉄道株式会社(初代)が名岐鉄道株式会社に改称。
竹鉄のバス、笠松〜墨俣間が開通。
名岐鉄道笠松線に新笠松(2代目、現・笠松)が開業。
新笠松(2代目)〜新一宮間の開通に合わせ、須ケ口〜新岐阜間を名岐線とする。
これにより笠松線は新笠松(2代目)〜笠松(3代目)間となる。
名岐鉄道株式会社が名古屋鉄道株式会社(2代目)に改称。
笠松(3代目)を西笠松に、新笠松(2代目)を笠松(4代目)に駅名改称。両駅、現在の駅名となる。
笠松口(2代目)廃止。
戦時統合で竹鼻鉄道株式会社、名鉄に吸収合併。記念誌「竹鉄乃なごり」発刊。
路線名は笠松(4代目)〜西笠松間の笠松線と統合し「竹鼻線」に。車両8両を継承。
一部駅が営業休止。東須賀、東柳津、門間、曲利、本覚寺前、江吉良、長間、沖、美濃石田、正専寺前、桑原の計11駅。
長間駅が営業再開。
竹鼻線乗り入れ先である名岐線の架線電圧が600Vから1500Vに昇圧。
名岐線の路線名を「名古屋本線」に改称し、ダイヤ改正により岐阜〜豊橋間直通運転開始。
栄町を竹鼻(3代目)に、竹鼻(2代目)を西竹鼻に駅名改称。
竹鼻線を担当する栄町乗務区を竹鼻乗務区に改称。
西柳津を柳津に駅名改称。
市之枝変電所新設(セレン整流器200kW×1)。
牧野行き違い設備完成。列車スピードアップに伴うダイヤ改正を実施。
西竹鼻を羽島に駅名改称。
須ケ口乗務区・鳴海乗務区を統合し、名古屋運転区・名古屋車掌区新設。
名鉄休日ダイヤ新設。
ダイヤ改正実施。3600系複電圧車両による新岐阜・大須間の直通運転を開始(1日7往復)。
名古屋本線茶所変電所新設に伴い、笠松変電所は竹鼻線専用に。
梅雨前線豪雨により一部線区が不通に。市之枝〜大須間は同年7月3日に運転再開。
架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
竹鼻変電所建設(水冷式水銀整流器1500kW×1)、市之枝変電所廃止、笠松変電所を笠松き電室に変更。
ダイヤ改正実施。
竹鼻線全列車が新岐阜へ直通。加納通過列車には「特急」の標板を掲示。線内最高速度を60キロから85キロに変更。
市之枝無人化。
竹鼻乗務区が津島乗務区とともに名古屋運転区・名古屋車掌区へ統合。
【羽島線】羽島新線(羽島信号所・新羽島間)の敷設免許取得。
ダイヤ改正実施。一部時間帯において4両編成での運転を開始。
ダイヤ改正実施。急行を新設。
休止駅のほぼ全てを廃止。対象は東須賀、東柳津、門間、曲利、本覚寺前、沖、美濃石田、正専寺前、桑原の計9駅。
笠松・羽島間で単線自動閉塞式使用開始。
7300系運用開始。
笠松・羽島間にCTC導入。
南宿無人化。
【羽島線】羽島新線の工事に着工
【羽島線】江吉良〜新羽島間、1.3キロが開業(工費約35億円)。
休止中の江吉良が営業再開。羽島を羽島市役所前に改称。急行の運行を開始。
笠松の新駅舎完成。
大須無人化。
笠松に自動改札機導入。
笠松の東口駅舎完成。
開業70周年記念列車が8800系「パノラマDX」で運行。竹鼻線史上唯一の特急車両入線。
ダイヤ改正で笠松・新羽島間15分間隔運転に。
羽島市役所前の新駅舎竣工式・記念発車式を行う。
西笠松無人化。
江吉良〜大須間の営業最終日。
5509Fを使用した名称列車「お千代保稲荷号」を1往復運転(写真:南宿駅)、羽島市役所前〜大須間を運転する列車に「さよなら系統板」を掲出。
【竹鼻線】江吉良〜大須間、6.7キロが廃止。「羽島市代替バス」が運行開始。
同時にダイヤ改正で急行の運行が終了。
新羽島駅構内列車脱線事故が発生。994列車(3121F)が車止めに衝突し、先頭車両の前部が高架橋終端を突き破った。
これにより1年程度停止位置を変更し、4両編成はドアカット実施。
笠松が「トランパス」対応に。
羽島市役所前・江吉良間が高架化。朝時間帯の一部列車で時刻変更。
「羽島市代替バス」が「羽島市公共施設巡回バス」とともに「羽島市コミュニティバス」に再編され、同バスの「南部線」となる。
羽島市役所前、自動券売機・自動改札機(線内単独駅では初)を導入。
竹鼻、新羽島、駅集中管理システム導入に伴い無人化。
江吉良、駅集中管理システム導入。
西笠松、須賀、不破一色、駅集中管理システム導入。
南宿、駅集中管理システム導入。
西笠松・南宿〜新羽島各駅が「トランパス」対応に。
柳津が駅移転と同時に駅集中管理システムを導入し無人化。柳津が「トランパス」対応に。
ICカード乗車券「manaca」サービス開始。笠松・羽島市役所前を除く8駅にチャージ機を導入。
ダイヤ改正実施。名鉄岐阜への直通運行を早朝・深夜・平日夕時間帯を除き取りやめ。
土・休日ダイヤでは羽島線の増発を行い「羽島市役所前ゆき」は終電のみとなる。
駅ナンバリングを導入。
竹鼻線は「TH(Takehana・Hashima)」として西笠松のTH01から順に付番。笠松は名古屋本線としてNH56に。
「羽島市コミュニティバス」の再編により同バス「南部線」は減便となる。(他の路線で部分的に本数をカバー)
ダイヤ改正実施。名鉄岐阜への直通運行を平日夕時間帯についても取りやめ。
開業100周年を迎える。7月25日に笠松で記念発車式を実施。以降8月31日まで記念イラスト系統板を1編成に掲出。
羽島市役所前、駅集中管理システム導入に伴い無人化。同駅のみ自動券売機によるmanaca定期券の継続発売開始。
〔参考文献〕
名古屋鉄道百年史(名古屋鉄道株式会社広報宣伝部編 1994年)
西美濃わが街(2001年6月289号)
ほか
名古屋本線では岐阜から4番目の駅「笠松」の1番線から竹鼻線は発車します。列車が発車すると、ホーム南から始まっているカーブを曲がり西を向きます。ですが、すぐに左へ曲がり南進。このカーブの右手には笠松町立笠松中学校が見えます。しばらく直進すると「西笠松」です。この区間では、車窓に民家が多く見えます。
「西笠松」を出発すると早速坂を上ります。ここで、県道14号岐阜稲沢線を跨ぎます。橋には、2006年ごろまで「おちよぼ稲荷参詣電車」と書かれていましたが、“おちょぼ稲荷”へ向かうことの出来た大須方面は2001年に廃止されています。そんな橋を渡り、方角を西へ変えながら坂を下りると列車は速度を上げていきます。右手にイオン柳津店の見えるカーブを曲がり南西方向を向き、再びカーブを曲がって西を向きます。そろそろ車窓には水田風景が広がってきました。すると列車は「柳津」に到着します。
「柳津」を発車してしばらくするとカーブを曲がって南進します。このカーブに2008年までの柳津駅がありました。民家の合間を縫って再びカーブを曲がり南南西方角を向くと列車はスピードを上げ始めます。しばらく直線を走ると再びカーブ。このあたりに4キロポストがあります。もう4キロも竹鼻線に乗りました。ここからスピードはかなり速くなり、場合によっては85キロも出します。このあたりで、羽島市に突入。車窓は水田しかありません。車窓右手に県道1号南濃線が見えると速度を落とし民家が増えてきます。すると「南宿」です。「当駅で反対電車を待ちます。しばらくお待ちください」
「南宿」発車後、しばらく家々に挟まれていますが、突然車窓が水田ばかりになります。坂を上り始めると、小さな川を渡り、カーブを曲がると「須賀」です。車窓に民家がまた増えてきました。
「須賀」を出発してしばらくすると、左手に見えますカネスエ正木店は2000年に開店。それまでは牧場で、馬が数頭暮らしていた場所でもあります。そうこうするうちに列車は民家に囲まれた「不破一色」に到着。
「不破一色」を発車すると右手に三星毛糸・三星染整の本社・岐阜工場が見えてきます。この工場への門の前を竹鼻線は走るため、門専用の踏切もあります。その工場を横目にカーブへ入ります。カーブを抜ける頃に県道1号と交差、ここからは直線で西を向きます。しばらくして車窓に民家が増えると「竹鼻」。
「竹鼻」を出て、一旦カーブで右に行きかけると左へ大きくカーブ。急なカーブのため、速度はあまり出せません。このあたりにある本覚寺への最寄り駅としてかつての本覚寺前駅がありました。カーブを抜け、左手には竹鼻保育園・竹鼻別院が見えます。右手の遠くには多くの店が見えます。あっちのほうに、羽島市文化センター・羽島市図書館・羽島市民の森公園があります。そうこうしているうちに「羽島市役所前」に到着。
「羽島市役所前」のポイントを越えるとすぐに高架を上り始めます。2005年に高架化されたのは、途中見える県道1号(18号)大垣一宮線の踏切解消のためです。ちなみに県道との交差部分の左手に見える大垣共立銀行羽島支店の駐車場に「ドライブスルーATM」があります。右手には羽島郵便局が見えます。県道を越えたあたりですぐに高架を下ります。そうです、この区間は短いのです。高架を降りるとすぐに「江吉良」。
「江吉良」駅のホーム中央に0キロポストが立っています。この駅から竹鼻線ではなく羽島線に入ります。カーブを曲がりますが、ここまで来た直線上にも線路の跡が…。そう、ここを大須方面が走っていました。カーブを曲がると高架を上り始めます。開発途中の田園風景の中を右へ左へ小さく曲がって、左手に東海道新幹線の高架が迫ってくるとまもなく「新羽島」。終点です。
内容更新:2023年12月25日
ページ公開:2010年12月25日